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  • 執筆者の写真Naoko Suga

子供を守る眠り

現在、日本では不登校の児童・生徒数は、小学校で約2.8万人、中学校で約9.8万人にのぼります。中学校では、クラスに1人は不登校というぐらい、不登校が大きな社会問題です。不登校になるこどもは、睡眠や生体リズムで改善すべき課題が多く、実際に、不登校の児童・生徒の1/3は概日リズム障害という睡眠の問題を抱えています。

概日リズム障害は、決まった時間になっても寝れない、起きれないという睡眠の病気の1つです。この睡眠の問題の過程を振り返えると、じつは幼児期から夜型であった、ゲームやスマホが大好きで長時間熱中するようになった、塾や部活動で忙しく十分な睡眠時間が確保できなくなった、などがあげられます。


睡眠は個人差が存在するため、一律に「何時から何時まで寝るのが良い」というのは間違いです。統計的にみると、年代別の睡眠時間は、平均睡眠時間±1時間に入るのが約70%で、±2時間は約5%です。もし自分の周りに「極端な短時間睡眠でも大丈夫!」という人がいたら、もしかしたら本人がそう信じているだけで、体は不調のシグナルを発しているのに気づ

いていないだけかもしれません。


ご参考までに、アメリカ国立睡眠財団(2015)が、年代別の「望ましい睡眠時間」を公表しています(参照表1)。実際に自分の睡眠が十分に足りているかどうかについては、日中の眠気を基準にすると良いです。授業中に眠くなるのであれば、おそらく睡眠不足の状態であるといってもよいでしょう。もし、慢性的に睡眠不足である、または、平日の睡眠時間と週末の睡眠時間に1時間以上の差があるという場合は、特に注意が必要です。

睡眠が成長に多大な影響を与えることは周知の事実ですが、実際に日本人の若年者(5歳~18歳)の睡眠時間と脳(海馬)の大きさを調査したところ、平日の睡眠時間と脳の大きさに正の相関がありました。つまり、良く寝るほど脳が育つということです。また、スペインの調査では、平日と休日の睡眠に時間差がある社会的時差ボケが大きくなるにつれて、学業成績や、認知検査結果が低下することが明らかになりました。すなわち、平日の睡眠時間を休日に補うような生活を送るほど、脳の働きが悪くなるということです。


睡眠障害の最も有効な予防法は、①毎日の生活で寝不足にならないように寝る時間を守らせること、②学校の休みの日に起きる時間を遅らせないこと、です。また、朝に光を浴びる、食事を一定の時間に食べるのも有効です。


一見するとスモールステップに思えることも、継続することで「できなかったこと」が「できるようになる」のです。子供のころから規則正しい生活リズムを確保できる環境を整えるのが、親が子どもにしてあげられる最高のプレゼントでしょう。まずは、親が簡単に「できそうなこと」から始める、睡眠改善のスモールステップを踏み出してください。




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