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執筆者の写真Naoko Suga

眠りはダイエットの味方

睡眠不足によって肥満傾向になると言われますが、日本の疫学調査では、睡眠時間が短いと、成人では1.5倍も肥満になりやすいという報告があります。また、睡眠時間と肥満の関係を調査したところ、一晩に7~8時間の睡眠をとると、肥満になるリスクが一番低いことが判明しました。睡眠時間は長すぎても短すぎても肥満度は上昇するU字型の関係が認められています。また、肥満を介したメタボリック症候群の割合も増えます。


睡眠と肥満の関係は、睡眠時間(睡眠不足)だけでなく、睡眠段階(睡眠の深さ)や生活リズム(夜型で不規則な睡眠習慣)なども、肥満に影響を及ぼします。睡眠と肥満のメカニズムに関しては、まだまだ不明な点が多いのですが、睡眠中に分泌される食欲に関連する3つ物質が特に重要です。


①レプチン

まず一つ目は、満腹を伝えるホルモンのレプチンです。悪い睡眠の時は、レプチンの分泌が低下することで、食欲が抑制されにくくなり、食べても満腹感が得られにくくなります。そのため食欲を満たすために、通常よりも多く食べてしまいがちです。


②グレリン

二つ目は、食欲を増進させるホルモンのグレリンです。グレリンの分泌が増えることで空腹感が増え、ついつい食べ過ぎてしまいます。レプチンやグレリンなどのホルモンのバランスが乱れると食欲をコントロールできずに、肥満につながる可能性が高くなります。


③オレキシン

三つ目は、交感神経を活性化させる覚醒物質オレキシンです。お腹が空くと頭が冴え、逆に満腹になると眠たくなる感覚は、オレキシンが作り出しています。夜になると自然に眠たくなり、朝になると自然に目覚めるのは、睡眠や覚醒をコントロールするオレキシンが正常に分泌しているおかげです。


また、オレキシンはエネルギーバランスを調整するうえでも、重要な役割を果たしています。覚醒物質のオレキシンは交感神経を高めると同時に、空腹感を満たすよう食欲増進ホルモンのグレリンに脳内で指示をしています。オレキシンが分泌されることで、グレリンだけでなく、脳内の様々なホルモンの分泌を調整しているので、オレキシンが正常に機能することがとても大事です。


オレキシンは生活リズムに即して分泌されます。そのためオレキシンがしっかり作用するためには、体内時計が正しいリズムを刻んでいることが重要です。毎日規則正しく生活し体内時計を整えることで、オレキシンが生活リズムに即して分泌され、睡眠と食欲をコントロールします。


肥満対策の鉄板は、睡眠、食事、運動の3つの軸が強固であることです。この3つがプラスに作用するためには、まずは睡眠から取り組むとダイエットに成功する確率が高くなるかもしれません。しっかり睡眠をとることで、食欲ホルモンをコントロールしつつ、適度の運動を取り入れましょう。早速、今夜から良い睡眠を心がけてみてください。


出典:「睡眠医療」(ライフサイエンス vol.12 No.1 2018)

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